PCR検査を増やせば感染者が減る?
ツイッターを見ていると、今でも PCR検査をどんどん実施して陽性者をあぶりだせば感染者が減ってコロナが収束するという人たちが存在します。
また、日本はなぜ 当初のPCR検査拡大をしぶったのか?というようなコメントを書かれている識者もいまだに散見されます。
一部の学者や国会議員でさえもそのように考えている方がいるようです。
PCR検査は検査時点の瞬間値であり、検査制度も完全ではないので明らかにナンセンスだと思っていますが、最近読んだ書籍のなかで明瞭に書かれているのがありましたので紹介します。
村中璃子氏著「新型コロナから見えた日本の弱点」です。
PCR検査の一口知識
- PCRはポリメラーゼ連鎖反応のことであり、1983年 カリフォルニアのバイオテクノロジ企業のシータス社の社員の キャリーマリス(男性)により発明されました。
- むずかしいですが、核酸拡大をDNAポリメラーゼを使ってDNA合成反応を繰り返すことで可能にしたということです。
- 彼はこの件で1993年にノーベル化学賞を受賞しています。
PCRの保険適用
PCR検査は2020年3月6日 保険適用になっています。
それにより、費用約2万円の3割 約6000円が自己負担になりますが、この分も国が負担するので、結局自己負担は0円で済みます。
但し、初診料や再診料は自己負担になります。
国負担の条件
症状があって、コロナ疑いとして医師による案内があり、PCR検査センターに行って検査を受ける場合に限るようです。
自費検査
自主的に検査を受ける場合は全額自己負担になります。
PCR検査精度
偽陽性(陽性ではないのに陽性と判定されてしまう)については、検体のなかにほんのわずかのウィルスしか含まれていなくて、最小発症菌数に達していない場合でも陽性と判定されてしまうことです。
最小発生菌数に達していない人はコロナに感染したとは言いません。
偽陰性(陰性ではないのに陰性と判定されること)の割合は30%もあります。
コロナ感染者がPCR検査で陽性と出る確率は70%ということです。
残りの30%は陽性であるのに(陰性ではないのに)陽性ではない(陰性)と判定されるということです。
対象者を限定しないPCR検査の弊害
外国での実例
医療者のマンパワーがPCR検査にさかれてしまい、患者を診る医師が減ってしまう。
陽性というだけで入院させると病床はパンクしてしまう。
イギリス インペリアルカレッジの報告書
2020年4月の報告書によると下記のように書かれています。
PCR検査実施件数と流行の抑制状況には相関関係がなく、PCR検査を多く実施するよりもソーシャルディスタンスを実行することのほうが効果的である。
感染疑いの根拠のない無症状の人にまで検査を実施すればするほど、流行は拡大する可能性がある。
昨年、日本ではPCR検査が不足していたのか?
昨年、TVやメディアで学者やコメンテーターがさかんにPCR検査数について韓国と比べて少なすぎると声高に発言されていましたが、それは本当かについてもこの本に書かれています。
2020年 アメリカオクスフォードの公共サイト
100万人あたりのPCR検査実施数は以下のとおりで、確かに日本は少ないです。
- 韓国・・・286000件
- イタリア・・・148000件
- 日本・・・16000件
しかし、PCR検査での陽性率で見るとどうでしょうか
- 韓国・・・1.37%
- イタリア・・・21.4%
- 日本・・・2.1% (4月15日のピーク時点では7%)
WHOは陽性率は3%~12%であれば適当であるとしています。
そう考えると、日本が特にPCR検査が不足していたとは思えません。
ただ、症状のある人がすぐにPCR検査を受けられないという状況は改善する必要があったと思います。
WHOの「検査・検査・検査」の真の意味
TVやメディアの報じ方は 「感染の疑いのない無症状のすべての人にPCR検査をすべき」のような印象を受けました。
しかし、真の意味は「感染を疑う人」を徹底的に追跡して流行状況を把握することが目的であったとのことです。
後に、WHOは「検査・隔離・追跡」と表現を変えています。
後記
個人コメント
私は前回のブログで 「CDCでPCR検査を廃止」という情報を書きました。
コロナで1年半以上経った今、わかってきたことと有効な対策はなにか - ziechanA’s diary
TVやメディアでは相変わらずPCR陽性者=感染者のような報道で大騒ぎしています。
TVの番組は今日も専門家ではない識者があーでもない、こーでもないと自論を繰り広げています。
これはなにを意味しているのでしょうか?
政府に助言すべきアドバイザーグループ(分科会)が現在の感染状況とデータをもとにした論理的な対策を説明していないからこうなっているのではないかと思います。
私たちが教えてほしいことは以下のとおり。
- 感染ノメカニズムについてわかってきたことと今後の対処(これまでのデータ分析)
- メディアの報道の仕方についての助言
- 治療薬の準備状況
- 病床の拡大
- 酸素ステーションなど 考えられる方策
- インフルエンザとの違いと対処方針
- CDCの最新情報の説明
分科会が「経済のことはわかりません」と言っているのは私はとても理解できません。
コロナ死も経済死も重要性は変わらないと思います。
一方、医療現場で日夜就業されてくださっている方々には感謝の言葉しかありません。ありがとうございます。
著者 村中璃子氏について
一橋大学卒業後、WHO 西太平洋地域事務局の新興・再興感染症対策チームにも在籍されていた医師でジャーナリストの方です。
また、ベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所研究員で、京都大学大学院医学研究科講師でもあり、ジョン・マドックス賞を日本人で初めて受賞されています。
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