ziechanA’s diary

気持ちは40歳台、年齢は老年、趣味は読書、将棋、麻雀、ゴルフ(スコアがさっぱり)で唯一の持病が糖尿病の爺ちゃんのブログです。中森明菜の「少女A」にちなんで「爺ちゃんA」にしました。糖尿病体験や好きな読書の感想などを書いています。 

第16代アメリカ大統領リンカーンは奴隷解放の父というのは本当か?

 

エイブラハム・リンカーンは「奴隷解放の父」か

 

第16代アメリカ大統領は「奴隷解放の父」と習ったことを覚えていますが、はたしてそれは事実でしょうか?

 

彼は南北戦争の最中、1862年に「奴隷解放宣言」公布を行い、翌年1月1日から発効となりました。

 

南北戦争は奴隷解放のための戦争だったのでしょうか?

 

一国の国民がある人種の人権擁護のために二手に分かれて戦争までやるということが本当にあったのか疑問に思いましたので、書籍を探し読んでみました。

 

ジェームス・M・バーダマン氏著 森本豊富氏訳「アメリカ黒人史」を読んで勉強になったことを紹介しようと思います。

 

奴隷制度の発祥

アフリカの種族間の抗争で捕えられ、囚人になることから始まり、奴隷の需要が増すと市場での奴隷売買がスタートしました。

 

アフリカに「奴隷商人」が居て、ヨーロッパから銃を仕入れて部隊に売ることをやりだしていっそう種族間抗争が激化したこともありました。

 

当時のアフリカ王国は「奴隷貿易」をやっていて、それにより外貨を獲得していたこともあったということで、奴隷は主要な輸出品でした。

 

ヨーロッパとアメリカの交易に伴い、アメリカへの奴隷人口も増えました。

 

南北戦争時(1861年頃)の奴隷人口は400万人以上であったとのことです。

 

 南北戦争とはなにか

北米の北部州と南部州(ジョージア、ミシシッピ、アラバマ、等)とが約4年にわたって戦った戦争です。

 

1861年 4月 南部連合軍がサウスカロライナのチャールストン湾の北軍を攻撃したのが発端で、1865年4月9日 南部のリー将軍が北部のグラント将軍に降参して終戦となりました。

 

1867年が日本での大政奉還で江戸時代が終焉しましたから、その少し前の出来事ですね。

 

南北戦争の原因

当時、北米の北部は工場、南部は米や綿等のプランテーションが主産業でした。

 

南北戦争の原因となったのは下記の2項目です。

 

  1. 奴隷制度に賛成か反対か
  2. ヨーロッパからの輸入品に対する関税政策

 

19世紀フロンティアの西進が進むなか、新しい州に対して奴隷制を認めるか否かが議論になり南北で意見が対立しました。

 

北部の人は 奴隷制により、新移民の働き口が減ることを懸念して反対しました。

 

南部の人は奴隷制廃止により、自分たちの政治的、経済的な発言力が弱まることを懸念して奴隷制廃止に反対しました。

 

結局、南北戦争の争点は奴隷解放ではなく、アメリカ連邦制の推進がメインだったようです。

 

リンカーンの政策ポジション

リンカーンは1860年3月4日に第16代アメリカ大統領に就任しました。

 

彼は奴隷制度については、個人的には反対であったが、奴隷制度が認められている州についてはそれに表立って反対せず、容認の姿勢でした。

 

それは1862年の彼の演説をみると明白です。

 

私の最大の目的は、連邦を救うことである。奴隷制度を保つか、廃止するかというのは喫緊の課題ではない。奴隷制度と有色人種について何かするとしたら、それはすべて連邦を保つという目的のために行うものである。

 

 また、1861年に北部の奴隷の逃亡を奨励する「没収法」を可決していますが、これも南部を道徳的に孤立させるための戦略の一環としての奴隷解放というものです。

 

BLMの意味

BLMとは

Black Lives Matterの略で、Black Lives(黒人の生命)はMatter(重要である)ということです。

 

このMatterというのは名詞で 物、事柄ですが、動詞では「重要である」という意味になります。

 

It dose not matter.で 重要ではない、たいしたことではないという意味になります。

 

BLMという言葉の発祥と流布

2012年にフロリダ州で起きた17歳の黒人少年 トレイボン・マーティンの射殺事件がトリガーになってこの表現が生まれました。

 

犯人はジョージ・ジマーマンという28歳のヒスパニック系男性でした。

 

その後、2020年5月25日のミネソタ州ミネアポリスで起きたジョージ・フロイド事件で世界中に広く流布されるようになりました。

 

「 膝をつく」姿勢について

平和的なデモで「膝をつく」姿勢で意思表示がされるようになりましたが、その由来については下記のように言われています。

 

  1. 2016年 NFLのクオーターバック コリン・キャバニックが国歌斉唱時、片膝をついて人種差別に対して抗議の意を示したこと。
  2. 2020年5月25日のジョージ・フロイド事件で、警官によって膝で押さえつけられて死亡したこと。

 

 後記

けっこう読み応えのある書籍でしたが、これまでの黒人史を理解することができました。

 

私個人の感想ですが、昨今のBLMデモにおいては、デモに乗じて一般商店や大型ショップでの略奪や暴動事件も発生しており、残念な思いを持っています。

 

著者は これらの略奪事件は一部の人々が起こしたものであり、時のトランプ大統領はデモ参加者がすべてそうであると決めつけたと書いておられますが、私はその考えこそ決めつけではないかと思ってしまいます。

 

たとえ一部の参加者の所業であったとしても実際に略奪の被害にあった人々がいたというのも厳然とした事実であり、それを軽んじることはできないと私は思います。

 

 

 

 

 

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