ziechanA’s diary_糖尿病でも元気!

気持ちは40歳台、年齢は老年、趣味は読書、将棋、麻雀、ゴルフ(スコアがさっぱり)で唯一の持病が糖尿病の爺ちゃんのブログです。中森明菜の「少女A」にちなんで「爺ちゃんA」にしました。糖尿病体験や好きな読書の感想などを書いています。 

生命は続く・・・読書の面白さ

 

生命は続く

読書の面白さ

私は現役時代はそんなに読書をしていませんでしたが、定年後は糖尿病の知識のためもあり、糖尿病以外のジャンルも含めて多くの本を読んできました。

 

読書で面白いと思ったことはなにかと考えてみましたが、まずはストーリーでしょう。

 

壮大なスケールの作品もごく身近な日常を描いた作品も作家という方はよくこれだけのストーリーをイメージして文章化できるものだと驚かされます。

 

次に感心させられるのは日頃なにか心をゆすぶられるなにか小さな事件でもあった時、その時自分の感じているなにか違和感のようなものを普通の人は表現できずに もやもやしたままで過ぎ去っていってしまうのですが、その感情を見事に文章で表現しているなと思うことです。

 

さらにもう一つ、ストーリーの文章の間に作家がさりげなくあらわす人生観のようなもの、これこそが作家の言いたいことなのかと思うものがあることです。

 

しかもこの主張が別の作家の著作でも表現は違っても同じことを発現していることを偶然発見すると、がぜん真実味が増してきてますます読書が面白くなってきます。

 

7~8年前に読んだ本で興味深い本がありましたので、もう一度読んでみました。

 

明野照葉氏著「4階の女」

2010年発行のこの本の中で、私の脳裏にずっと留まっている1節があります。

個は個であって個でない。やはり命の連環の中で存在している。それは親なくして子なく、その親なくしてまた親なし、ということを考えればよく分かることだった。

 

この小説はヒロインが吉川真昼 28歳で、人よりも相当鋭い超能力的な聴覚をもった独身女性です。

 

その生まれつきの力が逆に災いして、普通の人なら神経をいやしてくれる音(いわゆる1/fゆらぎを持つ音)でさえ自律神経に響き、体調に悪影響をもたらすものになります。

 

彼女の仕事は自分の部屋で閉じこもってできるコンピューター関係の洋書の翻訳です。

 

そんな彼女がふとしたことで知り合い恋に落ちるのが潮見省吾32歳、製薬会社の研究員で、この2人に次々と驚くような事件が起こるというものです。

 

私が覚えている引用の1節は、「生命の連続性」ということを表しています。

 

私が驚いたのは下記の作家2人も同様のことを書いておられますので紹介します。

 

渡部昇一氏著「魂はあるか?」

199ページからの1節に書かれています。

 

「生命の連続性」が与えてくれる計り知れない安心感

 

この中で著者は女性が男性よりもはるかに強くこの「生命の連続性」というものを重要視していると書いておられます。

 

それは女性というものが昔から占いとか神秘的なものに強く惹かれるという傾向が強いことからわかるということです。

 

女性は出産という命がけの宿命を背負っており、神秘的ななにかに安心感を求めざるを得ないというのです。

 

現在では出産は相当安全になりましたが、かつてはその都度、死を覚悟するほどのことだったのです。

 

女性は出産すると、「生命を引き継ぐことができた」と安堵感を覚えるということです。

 

ちなみに、著者の渡部昇一氏は1930年山形県鶴岡市生まれの英語学者で惜しくも2017年4月 85歳で亡くなっておられます。

 

私は彼の別の著作「昭和の大戦への道」も読んでおり、尊敬する作家のひとりです。

 

加地伸行氏著「マスコミ偽善者列伝」

267ページからの1節に書かれています。

「生命の大切さを連続性から説く」

この中で、「儒教の身体感」として説明されています。

 

遺言は「残した言葉」であるように遺体は「残した体」であり、生命を遺伝子の形でコピーして遺しているのだということ。 

 

各人は個別のものではなくその背後に祖先との連続性を持っているものだということで、だからこそ人の命を絶つということはその連続性を切ってしまうことになるので絶対やってはいけないことだと書いておられます。

 

ちなみに加地伸行氏は1936年大阪生まれの東洋学者で、現在83歳です。

 

私は彼の「続・マスコミ偽善者列伝」も読ませて頂きました。

 

もう1冊、門田隆将氏著「新聞という病」

ここに書かれているのは例の少年Aの「絶歌」に書かれている内容で、「何故、人の命を絶ってはいけないか」の問いに対し、少年Aの答えは「自分自身が苦しむから」という身勝手なものだったということです。

 

「生命の連続性」についてまったく触れていないことに著者は大変落胆しておられます。

 

最後に「4階の女」で記憶に残った表現

「恋愛というのは、血のつながらない肉親を探す旅のようなもの

 吉川真昼と潮見省吾の交情を描いた表現が見事!

皮膚が溶ける。血が交じり合う。内臓も骨もからだの芯も溶け合っていく。果てに大きな快感が押し寄せる。

いい表現だと思いませんか? 

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