教育についてふと思うこと
最近、「ダンス必修」とか「英語の早期教育」ということが話題になっていますが、皆さんはどう思われているでしょうか?
「ダンス」については好きな人はやればいいと思うのですが、好きではない人にとっては必修にされたら苦痛になるのではないかと思います。
「英語の早期教育」についても幼児からやるほうがいいのか、耳に慣れさせるという点では効果があると思っていますがこれにも賛否両論ですね。
まず、結論から言いますと、私がこの頃、教育について思うことは下記の2点です。
- 義務教育の間に 進路教育が必要ではないか。
- 義務教育の間に お金の教育をすべきではないか。
なぜ、こう思うかを以下背景を交えて説明したいと思います。
私は教育者でもなんでもないので素人の感じるままの意見としてとらえて頂ければと思います。
ひきこもり
現在、日本では約100万人のひきこもりがいるとのことです。
各々御両親がいるとして、合計 約300万人の方々が引きこもりの子息をかかえて苦しんでおられるのが現状です。
ひきこもりとは原因がメンタルなものではなく、仕事や就学につかず、家族以外にコンタクトを取ろうとせず、自室に引きこもってしまう人のことを言います。
彼らは他者と同じように働きたい、学習もしたいができなくて、社会に積極的に出ていけない、これは一種の労働問題ですね。
発生原因はなにか
日本の教育制度では義務教育9年を皆同じレベルの学力になるように平等至上主義で教える、その後ほとんどの人が高校へすすみ、さらに半数以上の人がとにかく大学に進学するような状況です。
とにかく大学を卒業するのがゴールになっていて、自分は社会に出てどんな仕事をして生活を維持していくかのビジョンが見えていない。
このような状態で学習内容を理解できて、進学に追随できる子はおちこぼれることがなく、なんとか大学卒業まで行けるのでしょう。
ところが、授業は理解できない子が何割かいてもそのままにしてどんどん進行してしまい、ついていけない子が現れるようになります。
そうすると彼らは生きていくのがつまらなくなり、気力も希望もわかず、自分の部屋に閉じこもってネットやゲームばかりの日々を送ることになるのでしょう。
私はこの年になって思うことは、学校の教授や研究活動を将来やりたい人は自分の能力をいかしてどんどん進化、突っ走ってほしいとおもいます。
しかし、そうではない人に対し、学校で教える内容、たとえば微分や積分などは社会に出た後本当に必要かというとその人の選ぶ職業によってはまったく不要であると思います。
数学については、四則計算、分数、少数、関数、サイン、コサイン等が分かれば義務教育においては十分ではないかと思います。
加地伸行氏の著書
加地伸行氏の「続・マスコミ偽善者列伝」の終章「政策の具体的内容」の「外国人労働者受け入れは不要」と「教育大改革」というところに 下記のような内容が書かれています。
「外国人労働者受け入れは不要」の中では、義務教育後、高校進学などせずに肉体労働でもなんでも自分のできる仕事にすすみ、手に職をつければ一生それで飯を食っていけるのだとのこと。
自分のやりたい仕事についてなにも考えずにとにかく大学に入って卒業さえすればなんとかなると甘く考えているから実社会に出て挫折するのではないかと。
「教育大改革」のところでは、現在の中・高の教育内容は過多で難解で十分に理解できない生徒が大半を占め、学習が楽しくないというのが実情であるとのこと。
そこで著者は中・高においての学習コースを分けて、各自選べるようにするということを提案されておられます。
進路教育
私は加地伸行氏の中・高でコース分けをするという考えも素晴らしいと思っていますが、とりあえず今すぐできることというのを考えると、まず進路教育ではないかと思います。
義務教育の小・中学校の9年間の内、中学校の3年間については進路科のようなものを作って、世の中のあらゆる職業について、すべては無理としても代表的な職業について教える、職業の種類、その職業につく場合はどのような経歴が必要かということを教えるということが必要ではないかと思っています。
もし可能ならその授業にその職業についている方をお招きしてどのようにしてその仕事についたのか、必要な知識はどんなものがあるかとか、収入面はどうかとか苦労話なども聞くことができればいいかと思います。
その進路科で学んだことで将来の自分の仕事、目標が決まると、普通の高校に行くのかまたは専門学校に行くのか、はたまた誰かに弟子入りをするのかなどになり、自身の適正と嗜好を考慮した将来のビジョンが見えてきて、目標を見失い挫折によりひきこもりになるのは避けられるのではないかと思います。
逆に、勉強のすきな子は目標がよりクリヤになり、ますます難しいことにチャレンジしてほしい、日本の知的な宝をめざしてがんばってほしいと思います。
補足-日本の教育制度とドイツの教育制度
日本の義務教育制度は文部科学省の出している資料7「我が国の義務教育制度について」に書かれているように、保護者は子女を満6歳から12歳までは小学校、その修了後は満15歳までは中学校に就学させなければならないとなっています。
憲法26条
1.すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて。ひとしく教育を受ける権利を有する。
2.すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育はこれを無償とする。
教育基本法第4条
1.国民はその保護する子女に、9年の普通教育を受けさせる義務を負う。
2.国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。
ドイツの教育制度はマイスター制度とも言われ、本人の希望によりマイスター(職人)を養成するために、小学校4年生で成績に応じ職人・一般事務・総合職のキャリヤ選択を強いられるとのことです。
よって5年生からは 職人になる人、企業に就職する事務職の人、大学進学する人の3つにコース分けされるようです。
小学校4年生で将来がおおまかに決まってしまうというこの制度は、私は少し抵抗がありますね。
補足-ゆとり教育
1990年代後半から2000年代にかけていわゆる「ゆとり教育」というものが実施されました。
この年代は今はアラサー年代にあたるのでしょうね。
内容はカリキュラムの1/3を減らして土曜日を休日にし、自習時間にあてたというもので、目的は受験地獄のストレス軽減と暗記ではなく考える力を重視して問題解決能力を養うというものでした。
結果、2003年の国際学力テストPISAにおいて読解力の得点が低下したために2011年には完全にゆとり教育が廃止されました。
私はこれは日本の教育ポリシー(皆手をつないで平等に)をそのままに、単に全体のレベルを下げただけではないかと思っています。
できる子を積極的に伸ばすという観点からはマイナス面が大きかったのではと感じています。
日本の教育にもドイツのポリシーを部分的に取り入れてみんなが自身の将来ビジョンという目標に向かって楽しく学んで生きていければいいなと思います。
お金の教育
私ほこれまで学校でお金の教育をしてもらったことがありません。
昨今の金融商品にからむ詐欺事件とか年金問題、納税問題なども知識の欠如によるものが多いのではないでしょうか。
各種保険の知識、株式の知識、投資信託の知識、年金の知識、税金の知識、円高円安の知識、仮想通貨の知識、利息計算の知識、会社を立ち上げるときの知識など お金に関わるものは社会に出れば必ず直面する問題です。
詳しい知識でなくてもこれだけは知っておくべきというものはあるはずで、それがあれば社会にでても困らず、騙されず、役立つものだと思います。
こういうものは義務教育の間においてもすこしづつでも教えてあげるほうがいいのではないでしょうか。